メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 3800 May/4/2011

ウサマ・ビンラーディンの死
―アラブ・イスラム圏とインドの反応―

パキスタンのアボタバードでウサマ・ビンラーディンがアメリカの特殊部隊によって殺害された。ニュース発表に続いて、アラブ/ムスリム世界でさまざまな反響があった。次に紹介するのは、その反応。MEMRI Blog (www.thememriblog.org )からである。

ビンラーディン暗殺―ハマスは非難、PAは歓迎、イスラミストは報復を期待、イランは偽情報視

ガザのハマス政権首相ハニヤ(Isma'il Haniya)は、ハマスとアルカーイダの間に論争があるにも拘わらず、聖戦の戦士<Eサマ・ビンラーディン暗殺を非難した。ハニヤは「アメリカは、アラブとイスラムに出血を強要し、暴力をベースとした政策をとっている。今回の事件はその政策の一環である」と言った。

一方PA(パレスチナ自治政府)のスポークスマン、アルハティブ(Ghassan Al-Khatib)は、暗殺は「世界平和のためになる。しかし重要なのは、ビンラーディンを初めとする人々の暴力的スタイルを敗北せしめることである」と述べた。

エジプトのムスリム同胞団副代表のアルアリヤン('Issam Al-'Arian)は、「ビンラーディンの死が世界で暴力を起す理由のひとつを排除する」と述べ、報復があると予言した。

シューラ会議(Al-Gama'a Al-Islamiyya Shura)のアルガーニ議長(Sheikh Safwat Abd Al-Ghani)は、この殺害事件でアルカーイダとアメリカの闘争が終ることはないと主張し、会議メンバーのひとりアルマジッド(Sheikh ‘Issam Abd Al-Magid)は、今回の事件後ビンラーディンの道と世界観は死後消えていくと予想する。

サラフィの主導格説教師バクリ(Omar Bakri)は、レバノンで「ビンラーディンの死は、この地域における指導者の喪失を意味する」とし、「自分の望む殉教を果したのは良いことである」と言った。更にバクリも、報復作戦があると述べている。

ムスリム聖職者達は、ビンラーディンの水葬はイスラム法に違反するとし、水葬を許されるのは海没事故の時だけである、と主張する。

一方、イラン国会の国家安全保障・外交政策委員会の委員長ボロウジェルデ(Alaeddin Boroujerdi)は、ビンラーディン本人が殺害されたという話に疑問を呈し、アメリカは以前にも同じような発表をしたと指摘した(イランの議員「ビンラーディン死去報道は目新しくない」を参照)。委員長は、「たとい暗殺が実行されても、10年に及ぶアメリカのアフガニスタン侵略の後では大した戦果ではない」と言った。

出典 2011年5月2日Fars(イラン)、Al-Shourouq(エジプト)、Alarabiya.net, Falastin(ガザ)、Al-Sabeel, Amad.ps(ヨルダン)

ビンラーディンを称える英ムスリム同胞団前スポークスマン

イスラムネットOnislam.netは「ビンラーディン死亡。次はどうなる」と題するライブの質疑を流し、ヘルバウィ(Dr.Kamal Helbawy)がその回答者となった。本人はエジプト人で、ムスリム同胞団の西側向けスポークスマン(1995-97)をつとめ、英ムスリム評議会(MCB)と英ムスリム協会(MAB)の創設者のひとり。現在も前者の理事である。

この質疑のなかでヘルバウィは、ビンラーディンを聖戦の指導者として称え、「KSAに住む資産家。しかし贅沢な生活を棄て、山岳地帯や洞穴に移動し、厳しい生活を送った。アフガンの同胞達を助け、アフガン聖戦に参加し、聖戦の実をあげた」と言った。

ヘルバウィは、9/11攻撃の背後で糸を引いていたとしてアメリカを非難し、「アメリカ人が9/11事件で主張しているのは、アルカーイダを非難するためのつくり話。あらゆる証拠からみて、この事件を起したのはアメリカ人自身である」と主張した。「アッラーよ、ウサマ・ビンラーディンに御恵みを。その墓を照らし、預言者、殉教者に列し給え」と祈りの言葉を捧げている。

出典 2011年5月2日付Onislam.net, Csidonline.org

ビンラーディンの隠れ家の持主はパキスタンの偽$g分証の携帯者

パキスタンのウェブサイトによると、ビンラーディンが殺された隠れ家の持主は、パキスタンの偽$g分証(NIC)の持主という。ARY News TVのこのサイトによると、家主の身分証は、ナキーブ(Arshad s/o Naqeeb)という名前で、住所はチャルサッダ地方のタンギファル地区となっているが、タンギ地区の住民達は、そのような名前の住民はいない、と証言している。

出典 2011年5月2日付www.arynews.tv (パキスタン)

ビンラーディンの子供4名、妻2名は逮捕

消息筋によると、アルカーイダの指導者ウサマ・ビンラーディンの子供4名と妻2名は既に逮捕されている。ビンラーディンの親友でアクバル≠ニ名乗る人物も逮捕され、何処かへ連行されたという。ウサマ・ビンラーディンは、首都イスラマバードから100キロメートル足らずの距離にあるアボタバードで、アメリカの特殊部隊によって殺害された。事件後アボタバードとその周辺地域は警戒態勢下におかれている。

出典 2011年5月2日付Arynews.tv

機密情報漏洩防止の為に殺された―イラン古参議員の主張

アメリカは、米・アルカーイダ共同謀議テロの事実と情報が洩れるのを防ぐため、ビンラーディンを殺害した。古参議員でイラン国会の国家安全保障・外交政策委員会メンバーのジャハンギルザデー(Jauad Jahangirzadeh)は、「これまで西側は、ビンラーディンの行動とその成果に満足していた…本人の持っている非常に貴重な情報が外部に洩れるのを防ぐため、西側は本人を殺したのである。西側は、国際社会で傷ついた顔を修復しようとするが、ビンラーディンが生きていればこれまでとこれからの秘密作戦の情報が洩れる恐れがあり、西側諸国の古傷があばかれる可能性があった」と述べ、西側は、ムスリム諸国に対する侵略と占領を目的に新しい口実を探すため新たに陰謀をたくらんだ、と諸外国に警告した。

出典 2011年5月2日付Fars(イラン)

ビンラーディン死亡説に新味なし―イラン国会国家安全保障・外交政策委員長

イラン国会の国家安全保障・外交政策委員会のボロウジェルデ委員長(Alaeddin Boroujerdi)は、「アメリカの政府高官とメディアはアルカーイダの指揮者ウサマ・ビンラーディンを殺害した、と何度も主張してきた。今回の死亡説も全く新味がない」と記者団に語った。委員長は、死亡説を確認できないとし、米軍は、9/11攻撃の背後にいる者と対決すると称し、その口実のもとで10年前にアフガニスタンを攻撃し、以来それを続けていることを考えれば、たといその死亡報道が正しいとしても、偉大なる仕事≠ネどとはとても言えない、とつけ加えた。

出典 2011年5月2日付Fars (イラン)

アフガン作戦の失敗の辻褄合わせ―レバノンのハティト将軍

イランの通信社Farsはレバノンのハティト将軍(Amit Hatit退役)の談話を配信した。以下その談話内容である。

アメリカは、アフガニスタンにおける政治及び治安上の失敗で辻褄を合わせようとして、アルカーイダ指導者ウサマ・ビンラーディン殺害に関するニュースを流したのである。アメリカのオバマ大統領によるビンラーディン死亡の発表は、アフガニスタンにおけるアメリカの重大な失敗の埋めあわせであり、アフガニスタンに駐留する米軍部隊の士気をあげるための戦術的行動である。

出典 2011年5月2日付(イラン)

アメリカとビンラーディンーレバノン紙の風刺漫画

一番都合のよい敵であったのに

出典 2011年5月2日付Daily Star (レバノン)

パキスタンがテロリストの聖域である証拠―インド内務相

インドのウェブサイトによると、インドの内務相チダムバラム(P.Chidambaram)は声明の中で、次のように述べた。

アメリカ政府は、「パキスタン内陸部においてウサマ・ビンラーディンが治安部隊によって殺害された」旨インドに通告した。この事実は、我々の懸念を裏書きするものである。さまざまな組織のテログループがパキスタンを聖域にしており、我々は懸念を深めていた。アメリカのオバマ大統領は、今回の銃撃戦がパキスタン内陸部のアボタバードで起きたと述べており、11月26日のムンバイテロ攻撃の首謀者達がまだパキスタンに潜伏している事実に、我々は注目する。ムンバイ事件の計画者、指揮者及び実行者は、今日までパキスタンにかくまわれている、と我々は信じている。

出典 2011年5月2日付http://week.manoramaonline.com (インド)

タリバン囚人は正門から脱獄したーアフガン法務相

アフガニスタンの法相ガーリブ(Habidullah Ghalib)は、最近カンダハルで起きたタリバン囚人達の脱獄事件について、トンネルを掘って逃げたのではなく、内外の手引きにより正門から出て行ったと述べた。カンダハルの牢長達とタリバン囚人達は気脈を通じ協力し合っていた。アフガニスタンの情報部次長は、カンダハル脱獄事件に関与したとして複数の隣接国家の情報機関を非難している。

出典 2011年5月1日付www.tolonews.com (アフガニスタン)

アメリカの作戦はパキスタンの主権侵害―ムシャラフ前大統領

パキスタンの前軍人大統領ムシャラフ(Pervez Musharraf)は、アルカーイダ指導者ウサマ・ビンラーディン殺害はパキスタンの主権侵害である、と言った。パキスタンのGEO News TVの報道が伝えた。ムシャラフ前大統領の発言によると、「ビンラーディンはパキスタンに宣戦布告をした男であり、これまでパキスタンで何人も殺している。一方、パキスタン国内におけるアメリカの今回の作戦は、国家主権の侵害行為で、誰にも許されるものではない。パキスタン軍よって作戦が実施されていたら、本当に喜べた筈」である。ムシャラフ前大統領は、ビンラーディンがアボタバードで殺害された事実に驚いたと述べると同時に、アルカーイダ指導者の殺害で対テロ戦争が終ったと考える者は間違っているとし、確かにアルカーイダの行動力に影響するであろうが、アルカーイダは今後も存続する。この組織は個人ではなくイデオロギィーで動かされているからである、と主張。更に、パキスタンのタリバンにテロ戦術を教え、自爆用爆薬装着衣と即席爆発装置(IED)のつくり方と使用法を指導したのはアルカーイダであると、つけ加えた。

出典 2011年5月2日付GEO News(パキスタン)


 

 

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